福冨諭の福冨論

RSSリーダーではこちらをどうぞ→https://feeds.feedburner.com/fuktommy

Marriott Bonvoy アメックスの還元率を考えてみる

SPGアメックスがリニューアルしてMarriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・カード(プレミアムと区別する場合はベースと呼ぶらしい)とMarriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードになるわけだが、どちらがお得なのか、他のカードと比べるとどうなのかを考えてみたい。

無料宿泊特典が発生するように年間150万円(そのうち還元率が半分になる公共料金が40万円)使う前提とする。400万円使う人や数十泊するような人にとってはプレミアムカードの方が有利だろうし、逆に100万円行かない人にとってはコスパ度外視で5万円払ってゴールド会員になるという選択もあるだろうから、還元率がどうこうと言っても意味がなさそうだ。(いくら使えばどれだけお得になるかという考察は「AMEX SPGの乱(2022) | The Gekkan Boston」に詳しい)

150万円使うと何ポイントになるかというのは計算すれば出るのだが、問題はポイント単価(1ポイントが何円として使えるか)だ。マイルへの交換ではなく宿泊に使う前提で考える。休みが取れたら予約ページと睨めっこして交換率のよい宿を探すイメージになるだろう。今回は普通のポイントも無料宿泊特典も区別せず足して計算するが、実際には無料宿泊特典は2泊以上に分割することはできないし上乗せも1.5万ポイントまでに制限されている。仮に計算上で合計10万ポイントとなったとしても10万ポイントの部屋に1泊できるわけではないし3万ポイントの部屋に3泊できるとは限らない。また10万ポイントの部屋に1泊するのと3万ポイントの部屋に3泊するのとどっちに価値があるかは人にもよるし状況にもよる。繁忙期の方が単価がよくて閑散期の方が必要ポイントが少ないときにどっちがお得なのかも個人の価値観や状況によって変わるだろう。(ポイント単価の例は「Marriott vs Hilton ポイントの価値は?|マイラーズラボ」に詳しい)

これらの要素を取り除いて単純化して考えると、例えば 1ポイント=0.7円 と仮定したときベースカードの還元率は

((110*2% + 40*1% + 3.5) * 0.7 - 2.31) / 150 = 1.3%

となる。この考え方をもとに 関数グラフ - GeoGebraでグラフにすると

ポイント単価とカード還元率

となる(横軸がポイントの価値(円/ポイント)、縦軸がカードの還元率(%))。残念ながらSPGアメックスのコスパのよさが明らかになってしまった。

SPGアメックスとプレミアムカードが平行になっているのは年会費が上がってポイント還元面では変わってないことを表している。SPGアメックスとベースカードがx軸付近で交わっているのは年会費が2/3になってポイント還元も同じく2/3になったので年会費の元を取る条件は同じであるがポイント単価が上がるほどに差が開くことを意味している。

ベースカードとプレミアムカードが交わるのが 1ポイント=0.94円 のところで、ポイント単価がこれよりも高ければプレミアムカードの方がお得になるのだが、実際にはあまり期待できないのではないだろうか。(ちなみに400万円使うのであれば 1ポイント>0.5円 でプレミアムカードの方がお得)

そこでベースカードとプレミアムカードのどちらを選べばお得なのかを図にしてみたものが

ポイント単価(円/ポイント)と年間利用額によるお得なカードの選択

で、年間利用額年間(うち公共料金が40万円)を横軸、ポイント単価を縦軸としてグラフの右上の領域であればプレミアムがお得になるということを示している。例えばポイント単価が0.7円であれば250万円くらい使うとプレミアムがお得になる。

他のカードに目を向けると

  • 0.5%還元 (還元率が悪いカードでも大半のカードがクリアしている水準)
  • 1.0%還元 (手間をかけない前提で還元率のよいカードがこのくらい)
  • 1.5%還元 (リボ払いボーナスや年間100万円利用ボーナスを加味するとこの水準になることも)
  • 2.0%還元 (リボ払いボーナスと年間100万円利用ボーナスを併用するとこの水準になることも)

あたりが対抗馬として出てくる。1%還元程度であればクリアできそうな気はするが、1.5%以上を目指すとすると結構難しいのではないだろうか。