先日の合成音声界隈の騒動にはびっくりしました。 → ずんだもん立ち絵の件 - Togetter
最初に訂正を入れるときに「これは間違ってて」的な文章ではなく「利用方法としては問題ないのだけど、ツイートされてる解釈は間違ってて」的な言い方ならここまでこじれることもなかったのではないかなあと思いますが、同時に「利用方法としては問題ない」と個別の事例に踏み込むのが難しいことは僕自身の過去の失敗からわかっており、つまり難しい問題なのです。
10年以上前ですが「あなたのアプリの紹介記事を書いてよいか? その中でスクリーンショットを使ってよいか?」という問い合わせを受けて、おおむね
個別に許可を出していません。 ライセンスをご覧ください。
のような返信をしたら話が立ち消えてしまいました。自分としては「いいですよ、勝手にやってください」程度のつもりだったので当時は相手方がバカだなあと思ってましたが、これは返信が悪いですね。
なぜこういう返信を書いてしまうかというと、個別に許可を出すと
- 意図より広い範囲について許可したことになっちゃうかも。この記事について許可したつもりが、文面をよく読むと相手が今後書く全ての記事に対する許可を与えたことになっちゃうとか。
- ライセンスの一般的な解釈とズレてしまうかも。GPLのようなライセンス自体の解釈は専門家にやってほしいことで、権利を持ってるからといって開発者個人に聞かれても困る。
- 以前は許可を出したのに今度のには出さないのか、基準はどうなっているのかと追求されるかも。
- たくさん問い合わせが来ると処理しきれなくなるかも。
といった懸念があります。何かのロイヤリティを受け取るための審査ならともかく無料で配ってほぼなんでもしていいソフトウェアについてこんなことはやってられません。
じゃあ今ならどのように回答するかというと、たぶん
個別の審査はしていません。 ライセンスを読んでご自身で判断してください。 万が一問題があれば改めて連絡することがあります。
くらいでしょうかね。ただこれが
- 無料素材と有料サービスの組み合わせによるビジネス
- 相手の解釈の一部を否定し、残りを「判断しない」にする場合
- 第三者からの規約違反の「通報」
- 第三者から規約違反だと叩かれているところに「違反ではない」と割って入る場合
- 今回のようにトラブルが発生していて沈静化を図らねばならない場合
となると格段に難易度が上がると思います。