福冨諭の福冨論

RSSリーダーではこちらをどうぞ→https://feeds.feedburner.com/fuktommy

いわば「足捌き」に対する「脚捌き」

「足捌き」といった脚足の動きを考えると、僕の場合は床に対してどのように足を移動させるかというのが主なテーマとして浮んできてしまう。例によってこれも、子供の頃からちょいちょいやってた剣道の影響な気はするのだが。まあそれは置いておいて、もう1つの「足捌き」、あえていえば「脚捌き」とでもいえばいいのかもしれないが、足は床に固定してたとしても、足首・膝・股関節を動かせば、胴体の位置はずいぶん変わるはずで、こっちの動きにも注目しなければならない。それは手を使うときによりよい位置を取るためだったり、歩き出す前の体重の処理だったりするが、なんというか、外部との関係(この場合は足裏)は固定されていても、体に動かせる余地は充分にあるということでもある。

やりやすい位置を取るということでいうと、型の考え方として「やりにくい状況を作って稽古する」「相手に有利、自分に不利」といった表現があるが、やりやすい位置を取ってしまっていいのかというのは10年くらい前からの疑問点ではあった。しかし考えてみると「やりにくい状況を作ってから、やりやすい状況に変える」と解釈すればよいのかと思った。それは例えばしゃがんでから立ち上がるときに、両足になるべく均等に重みがかかるようにするとか、そのためには半身を切るような立ち上がり方をするとか、そういうことであって、上半身の角度を変えないようにするというような縛りはたぶん不要であると思う。周りとの位置関係ということでは、自分の今いる位置で体を回すようにして、占有する面積を広げないようにした方がいいと思うが、それはその方がやりやすいからであって、縛りをかけることによって上達を促すというのとはまた別のことだと思う。

別の視点からいうと、足首と膝と股関節を連動させるのだが、自然に覚えた連動のさせ方にいったん介入して、バラバラに動かせるようにしたのち、微調整できるように組み直したということでもある。一方で今の自分の稽古は、バラバラにするのと組み直すのが同時に行なわれており、組み直す方の意識が強い。どうしても、まず徹底的にバラバラにすることが大事で、組み直すことばかりに注力していては高い精度にはならない、というようなイメージが強いが、たぶんそれは誤った考え方なのだろうと思っている。この2つを同時にできない初歩の間だけ、2つのステップを踏むだけだと解釈した方がよさそう。しかし一方では、それだと初歩とそれ以降の段階分けができてしまい、一直線ではないという気がする。一直線であるべきというのは何の根拠もない、ある種の信仰のようなものだが、とにかくそういう気持ちがあるので仕方がない。

そういえば基本動作的な稽古はほとんどせず、型として組み上がったものばっかり稽古しているが、それも何かの信仰のようなものだろう。

「末端から動く」の法則と歩き出しについてで書いたような、手の指から動き出すのは、やはりイメージとして指の方向に動くとか、その動きの方向に脚足も力を出すといったのが強い。しかしそれはたぶん有効ではなくて、生理的な反射的な動きとして指と脚足が連動すべきだと思う。それは例えば指を握るのと同時に膝を曲げて腰を落とすとかそういうこと。

10年以上前から「指先から動かす」という言葉としては知ってたんだけど、別の動き(指先の向く方向に指先が動くように、肘とかを動かす)をイメージしてた。「指の第一関節から順に曲げる/伸ばす」だと理解できる。ちょっとした言葉の使い方だけど、違いは大きい。「肘を動かす/動かさない」と言った時、肘の曲げ伸ばしのことを言っているのか、肩を回すことによって肘の位置が変わることを言ってるのか、どちらのことを言ってるんだろうなあというのは、10年以上前から都度疑問に思ってた。

ドアを開閉するときの動きであったり、ちょっと重い鍋を持つときの動きを観察すると、指を握るのに合わせて「脚捌き」で胴体を前に出すのが相性がよかったし、一度それに気付くと、指を握ると胴体が前に出るようになる。逆に指を開くときは胴体は後に下がる。拳で突くときは、指を握る要素と開く要素が拮抗するので、胴体も前に出る要素と後に下がる要素が拮抗というか共存する。これに気付くと、ドアの開閉や鍋を持つときにも、出るのと引くのが共存する体の使い方になった。

サンチンやナイハンチを練習したあと、膝が痛くなることが度々あったが、おそらく型の動きとしては股関節等を締めて使い、その感覚が残っているのに、実際は緩めているので、齟齬が起きているのだと思った。なるべく締めた状態をキープすると痛くならなくなったので、たぶん正解だろう。

歩いていて向こうから相手がきて回避するとき、素早く動けるならギリギリまで相手の様子を見ることができるはずだと思った。今のところそれほど余裕はないのだけど、今までよりは相手を見ることができていると思う。

体の不調はいくつかあるが、一番注目しているのは左肩で、ここが楽になるように腰や骨盤を調整するようにしている。生活習慣としてどうしても負担をかけてしまうようだ。もう1つは左の腰というか股関節のあたりが痛むことなのだが、高柳さんがやってた、カメラを構えながらしゃがむ動きをやったらなぜか改善した。昨日くらいからやっと、息子の写真を撮るのにしゃがんだり立ったりするのが、あまり苦にはならなくなった。今まではけっこう見下ろすように撮ることが多かった。