福冨諭の福冨論

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武道稽古の第1期、第2期を思い出してみる(今は第3期)

僕は小学生から高校生まで、ちょっとブランクを挟んだりしながら剣道を習ってた。それで、練習してもうまくならないなあと思っていた。この練習とか、うまくならないとかは、それぞれ微妙なニュアンスがあるので詳しく書く必要がある。

まずうまくなるからだが、試合だったら一本を取れるような感じで相手が打てることが一つで、たぶんこれは剣道やってる人はまあそうだよなと思うだろう。もう1つは竹刀は刀を模したものであるから、相手の竹刀の手元のところが当たるとかの、一本にならないようなものでも当たってはいけないと思っていた。これは剣道で一般的な考え方なのかどうか知らない。それでも当時は直感的にそういうものだと思っており、何も疑問には思わなかった。

練習は、まあ一人でやる素振りとかを除けば、相手が面を打ってくるところを受けて逆に面を打つとかの約束稽古が1/3くらいかな、あとは互角で打ち合う地稽古をやっていた。約束稽古のシリーズには反撃の技だけじゃなくて、相手がわざと構えを崩したところを面を打つ等のものもあったが、一通り覚えて地稽古をするようになってからは、ほとんどが反撃の技だったように記憶している。地稽古は原理的には自由に打ち合う稽古ということなのだろうけども、先生は「積極的に攻めろ」「真っ直ぐ打て」と指導していたと、強く記憶している。

で、地稽古をするとどうなるかというと、相討ち的な状況になっていく。相手が動かなかったら当たるような打ちを、同じタイミングで跳び込みながら打つわけだから、当然のように互いに竹刀の手元が当たる。相手はどう思っていたかはわからないが、僕からすれば、こちらは一本を取るような打ちはできてないし、相手の竹刀は手元とはいえ当たっちゃってるわけだから刀なら流血してるし、一方的に負けているということになる。というわけでいくら練習してもうまくならない状況の完成である。

最近剣道経験者と話す機会があって、駆け引きの具体例とか、タイミングを図るとか当然のように言われて、なるほどその手があったかと思ったのだが、当時はそういう発想は全然なかった。積極的に攻めろというのは、今考えてみると2種類の解釈ができて、

  • タイミングを図るとか、相手に技を出させて反撃するとか、さらに進めて相手が技を出そうとしたところを攻撃するとか、そのほかいろんな駆け引きを含めて、相手を攻めろという、剣道用語の「攻め」を意識した、何かこう中高生あたりのレベルに合わせたような何か
  • 防御はもちろんタイミングや駆け引きも一切気にせずひたすら打ち込むべし、それで体力を養成するという、小中学生のレベルに合わせた何か

ということになるが、当時は全く疑問を持たず、後者のひたすら打ち込むことだと思っていた。これは真っ直ぐ打てという教えとも繋がっていて、これも同様に複数の解釈ができるわけだけども、当時は竹刀を傾けて相手の竹刀をイナすとか、斜め横方向に移動して相手を打つとかの反撃の技で習ったような動きはダメだということだと思っていた。

というような話をツイッターでしたら、剣道を稽古されている方がレスをくれて、後者の解釈、つまりひたすら打ち込むようにして体力を養成するのを先生が意図的にやっていたという可能性も否定できないとわかった。

体力の養成が目的なら、体力が養成されたことを確認できるような検証項目があれば上達を実感できたのだろうなあと思う。逆に駆け引きを含めた話だったとしたら、具体例なんかも含めて、そういうものだとわかるように指導してほしかったなあと思う。

まあそれは今考えるとそうだということで、当時は剣道は無抵抗な相手を打つというところと、互角で打ち合ってそれでも打つという間に無茶苦茶大きなギャップがあると思い、もっと段階を踏んで稽古できるものがしたいと考えて、崩しとか投げ技とかの古武術系の体術を習うことにした。無抵抗な相手を崩す→踏ん張る相手を崩す→こちらの動きに応じて抵抗する相手を崩す→反撃してくる相手を崩す、というように段階を踏んでいけそうに思ったからである。

ところが実際には無抵抗な相手を崩すというところからして全くできなくて、これも2年くらいで一旦止めてしまった。稽古しても全然うまくならないという点では剣道のときと何も変わってなかった。今考えてみると当時通ってたのは経験者向けクラスのようなもので、あんまり初心者向けじゃなかった。そういうことに気付いていれば、少しは剣道の経験があったことをベースにして、剣術とか杖術を習って手掛りにすることができたのだろうが。後で知ったのだが、別の会場で初心者も参加できるようなクラスも開かれていたらしい。

数年後、現在を基準にすれば数年前ということになるが、割と明確に初心者向けに作られたクラスに参加する機会があり、ようやく稽古を再開することができた。